アルセロール・ミッタル・オービット(英: ArcelorMittal Orbit)は、ロンドンのストラトフォードのオリンピック・パークにある、高さ115メートルの展望塔。この鋼鉄製の建造物は、イギリス最大のパブリック・アート作品であり、2012年のロンドン・オリンピックを恒久的に記念するために建てられた。オリンピック後のストラトフォード地区の再開発を促進するこの建物は、オリンピック・スタジアムとアクアティクス・センターの間に位置し、二層の展望台からオリンピック・パーク全体を見渡せるようになっている。この「軌道」(orbit) は、アニッシュ・カプーアとセシル・バルモンドがデザインした。2010年3月31日にこの塔は発表され、2011年12月に完成する予定だったが、オリンピック・パークの多くの計画同様、完成予定日は繰り下げられた。2008年にロンドン市長ボリス・ジョンソンとオリンピック担当大臣テッサ・ジョウェルは、オリンピック・パークに「何がしか特別なもの」が必要だと考え、この塔の計画が持ち上がった。そして設計者たちに少なくとも100メートルの高さの「オリンピック塔」のアイデアを求め、9人からなる諮問委員会は様々な案の中から『オービット』を満場一致で選んだ。この事業には1910万ポンドかかったと考えられており、うち1600万ポンドはイギリス第一の富豪である鉄鋼王、すなわちアルセロール・ミッタル会長のラクシュミー・ミッタルによるもので、残りの310万ポンドはロンドン開発庁によるものである。この作品の公式名『アルセロール・ミッタル・オービット』は、カプーアとバルモンドのデザインに付けられた仮題『オービット』に、主たる後援者の名をつなげたものである。カプーアとバルモンドが確信するところでは、『オービット』は立体芸術と構造力学を融合させる建築界の急進的な進歩を表現するものであり、人々が作品に触れ、組み合わされた螺旋状の通路を体験することによって、安定性と不安定性を融合するものである。この建物は、大まかなデザインの段階から、賛否が分かれてきた。またその永続的な利用およびパブリック・アートとしての価値に疑問符が付くとして、虚栄心を満たすための計画だと批判されてもきている。